Avengers: Endgame

Avengers: Endgame

Captain Marvel以外一通り観たのでもう一度Avengers: Endgameを観てきた。なんも知らずに観た初回でも結構面白いと思っていたけど、シリーズを一通り観てから改めてEndgameを観ると全然違う。単に格好良く、もしくは面白く見せるための演出だと思っていたもののほとんどに実はちゃんと意味があり、どれを取っても過去との対比に感動がある。

魔術師勢はやはり強いなあと思った。特にThe Ancient OneとDoctor Strangeの、時間を超越して全てを見通している感じが好き。StrangeがTime StoneをThanosに差し出したと聞かされたThe Ancient Oneが、それには何か意味があるに違いないと理解してBannerに差し出す、絶対の信頼感が良い。そのStrangeもThanos戦でTonyになぜあらかじめ言っておかなかったのか問い詰められたとき、If I was told you, it would not happenという、全てを見通したかのような答えを返すのが最高に格好いい。Infinity WarでStrangeが見た勝利のビジョンはこれだったのか、と全てが腑に落ちるシーンだった。

2012年に飛んだCaptain Americaも良い。特にHydraからLokiの槍を取り返すシーン、エレベーターで囲まれるシチュエーション自体が明らかにCivil Warを意識していてどうなるかと思いきや、Hail Hydraの一言で信頼を得る流れは鮮やかだったし、20作使って張った伏線を満を持して回収するという、演出の技巧が光る。その後Captain同士で殴り合う時の "I can do this all day" "I know, i know" もセルフオマージュとパロディを重ねているうまいシーンだった。更に、Thanos戦でついにThorのミョルニールを手にすることになったのもアツい。初見時は単に武器を交換しただけだと思っていたけど、ふさわしい者しか手にできないというミョルニールの性質を知ってから観ると、Captainが本当に世界を背負うCaptainになったんだなあという感銘がある。

そしてTonyの死。I'm an Iron Manと言ってSnapする、ヒーローとして今まで積み重ねてきたもの全ての集大成。思えばこの映画はTonyにとって大切なものを全て再訪していく、Tonyのためのような映画だった。Potsと結婚して、娘ができて、Captainと仲直りして、過去で父親の想いを聞いて、Peterも取り戻して……。その果てが、自己犠牲のヒーローとしてのIron Manの最大の自己犠牲と、望み得る限り最大の勝利であるのが、いかにもTonyらしいなと思う。

伏線を活用する作品が好きだからという理由でシリーズを観始めて、ここEndgameに到達して、本当にその価値があったと感じた。個々の作品のクオリティは色々だったけど、その全てがEndgameに繋がり、またEndgameがその全てを参照していると思うと、全体で1つの作品だとしか言えないし、この体験をするためには全部を観る必要があったのは間違いない。