ソードアート・オンライン オーディナル・スケール

今年の目標 2/10。

SAOが好きなので見た。 今までのフルダイブ型のVRではなく、流行に乗ったのかAR型のゲームが題材になっている。ストーリーはまあいつものように、バーチャル世界で何かしらリアルに干渉するタイプの悪巧みをする連中がいて、キリトが計画を叩き潰すというもの。SAOの面白さはストーリーそのものではなく、ゲームの世界が現実に干渉するギミックと、いかにしてゲームで決められたルールを破るかという点にあると思う。

肝心のギミック部分は、最初の方はARの一般化した未来という感じで普通に面白かった。ショッピングモールに突然簡易ステージを出してシリカを歌わせるところは、電脳コイルのように、単に新しい技術を使っていつも通りのいたずらを仕掛けるという、現在との地続きな感じがあって、超近未来の予想図としてはワクワクした。ただ、戦闘が始まったあたりから、現実をベースにしたARであるという点はかなり雑に無視されていたように思える。そもそも風景のテクスチャを完全に書き換えてしまったら、動きの制約がきつくなっただけの没入型VRと変わらないし、敵の攻撃でプレイヤーが吹っ飛んだりするのもおかしい。ARで戦闘という題材でもやっぱり電脳コイルと比較してしまうので、全体的にそういったアラが目立ってしまう。AR戦闘として一番おもしろかったのは、エイジが「ARとVRの違いを教えてやる」と言って、異様に俊敏な動きでクラインたちのチームに腹パンを喰らわせていく所だった。確かにそこは大きな違いだけど……。 最後に100層ボスを倒すのは、必然性がやっぱりよく分からなかったことを除けば、かなり熱くてよかった。ついにアインクラッドの100層を攻略するのかという感慨と、それを当時にはなかった種々の武器と仲間で押し切るというパワープレイがなんともSAOらしい。

VRを除いたSFとしては、ARの出来以上に雑だった(SAO自体が元から結構めちゃくちゃだけど)。娘の人格を再構成するために大掛かりな仕掛けで記憶の断片を集めたのに、肝心の処理をディープラーニングの一言で片付けてしまうところなどはかなり正気を疑った。まあ、2026年のディープラーニングはあと3回くらいブレイクスルーが起きているのかもしれない。そもそも脳をスキャンされて記憶を失うとか、しかもそれが可逆だとか割とツッコミどころは多い。

作中に知っている場所が大量に出てきたのはかなり面白かった。クラインたちが襲われたところはオリセンだったし、ガーデンプレイスの見慣れた広場でボスが暴れまわっていたし、東工大の6号館あたりの地形と講義室が完全に再現されていたし、作品の本来の意図とは違うんだろうけど、まさに自分の経験した現実がアニメとして拡張されているような感覚があった。

次はひるね姫を見たい。神山健治がなんで細田守みたいなふわっとした映画を作ってるんだろうと思ったら、どうもガチのSFらしい。