リゼロ(原作)感想

先日アニメを見終わった後、リゼロの原作が小説家になろうで読めることを知ったので読み始め、今日現在で公開されている6章56話までをようやく読み終わった。読み続けてたわけじゃないけど2週間半くらいかかってしまい、読書速度の衰えを感じる。

3章中盤で完全に心を折られるまでのスバルの行動は、アニメでもテンションが高いだけの空回りで相当に鬱陶しかったけど、小説だと輪をかけて鬱陶しさが増していた。なぜかと言われるとよくわからん。

アニメで気になっていた星の名前の伏線は、アルの名前こそ回収されていないものの、ちゃんとスバルの気付きという形を取って消化されつつあり、読者の気を引くギミックの配置と使い方がうまいなあと思った。なんとなく現代の言葉を使って名前を付けるのではなく、明確な理由を持って言葉が異世界に輸入されているという形にすることで、主人公と同じ立場で謎解きに参加できるというのは面白い。

レム。アニメではスバルを立ち直らせた後は影が薄くなってしまったが、原作では影が薄いどころか存在ごと食われて消滅するというまさかの展開になってしまった。しかし存在感だけで言えば4章以降でスバルに残している爪痕が大きすぎて他と比較にならないので、死ぬことで(レムはまだ死んでないけど)いっそう深く他人に関わるという手段もあるのだなあという、ちょっとした感慨を得た。小説内でもたびたび「呪い」と形容されているように、スバルを立ち直らせる時の「スバルは英雄だから諦めない」という信仰に近いような信頼や、3章開始時点でのスバルへの依存具合から危うさが透けて見えるキャラクターになっていて、アニメのかわいさ一辺倒のようなレムよりもずっと迫力と魅力がある。こういうの傍から見ている分にはかわいいなあと思うし、なんなら経験してみたいとすら思わなくはないんだけど、実際にこういう形で依存されるのってどんな気持ちなんだろうね。

3章でレムに泣きついて「ゼロから」再開して、人間関係と精神的な成長を積み重ねていった6章で記憶をなくして「Re: ゼロから始まる異世界生活」になってしまったけど、このまま記憶をなくした状態が続くんだろうか。そうだとしたらレムの立場はどうなってしまうのか……。記憶喪失関連で言えば、転生直後と同じ時点まで記憶が巻き戻ってしまったにも関わらず、周りのサポートが手厚いというだけですんなりと立ち直ってしまったように見えるのは微妙に納得ができない。初期のスバルってもっと空回りばっかりしている痛々しい人間じゃなかったっけ……。ただ、6章を一気読みするとバッドエンド編を短時間で3編一気読みすることになるので、その印象が先行して、初期状態から比較的素直に立ち上がってくるスバルという人物像がすんなり受け入れにくくなっているような気もする。

そういえば4章でエキドナに契約を誘われるところ、自分はエキドナの言っていることを理解したつもりでこれ受け得じゃんと思ってしまい、今ひとつその後のスバルの選択にも納得ができていなかったんだけど、バッドエンド編を読んでああこれはダメだったんだなと思った。しかし何を反省すればいいのかよくわからない。まあ4章時点のエキドナのセリフはうまくデメリットをぼやかして言葉巧みに誘導しようとしているから判断が歪むのは当然だと思うんだけど、4章全体を通して読む読者として、あれがスバルの立場にとって害であると読解することは可能なんだろうか。